2011/5/24 札幌

青森と弘前で最初の研修

前回からの続きです。

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私は企業研修(社員研修、職員研修、公開講座等)の講師ですが、昔から堅苦しいことが嫌いだったのでマナー講師になりたいと思ったことはなく、むしろ一番やりたくないとさえ思っていました。

ですが、友人に頼まれて友人が役職者を務めるPCスクールの生徒さん向けにマナー研修を行うことになりました。

引き受けた理由は、いわゆる(私の嫌いな)マナーではなく、面接対策として名乗りやあいさつや自己紹介などを教えてほしいと言われたからです。

コミュニケーションがテーマならそれは自分の得意分野なのでやってみたいと思いました。また、今まで頼んでいた別の講師が「上から目線」でクレームになったらしい(推測)という話も聞いて、だったら元々マナー嫌いの私のほうが生徒さんの心情に寄り添えるのではないかと思いました。

友人のPCスクールは(当時)青森県に5校、札幌に1校、仙台に1校あり、最初に担当したのはたぶん青森校と弘前校だったと思います。

各校にはPCのほかにも簿記や医療事務など様々なコースがあるのですべてのコースの生徒さんに教えるとなると1校で3~4回、それぞれのコースの皆さんに同じ内容を繰り返します。

なので青森校と弘前校の2校を回るだけでも6回同じ講習を行い、へとへとになって仙台に戻りましたが、やりきったという充実感はありました。

単発のお仕事と思っていたら年間継続に

2011/5/24 札幌

ところがそれで終わりと思っていたら、友人からまた連絡が入り「好評だったので継続してやってほしい」と言うのです。

「え・・・・(絶句)」

「同じ人たちに?」「そう」「二回目、三回目をやるってこと?」「そう」

自分としては今までやったことがない不慣れなことに取り組んで、頑張ってすべてを出し切った感があるのに、いったいこれ以上何を教えたらいいの?

友人にそう問いかけると「一般的なことでいいですよ」との返事。

となると、やはりあの(私の嫌いな=苦手な)お辞儀とか名刺交換とかお茶出しとかに触れなければならないのかしら?

「そういうことになるかな」

正直に言ってとても困惑しましたが、まだ独立したばかりで他に仕事もあまりなく、将来に不安を感じ始めた時期だったので、ここでついに私は腹を決めて、安定した収入が得られるならマナーでもなんでもやってみようという気持ちになりました。

年間で300回以上のマナー研修

2011/7/19 十和田

私はその後、東京のマナー講座に参加したり、マナー講師の友人(前述とは別の友人)の家に教わりに行ったりしながら基本を学び、友人のPCスクール7校を毎月回ってビジネスマナー研修を担当するようになりました。

友人からは「基金訓練の生徒さんはマナーを知らない人が多いので本当に基本的なことでいい」と言われていたのですが、実際に研修を担当してみると、会社役員だった男性が定年退職後に学びに来ていたり、上場企業で働いていた女性の方から詳しい質問をされたり、こちらも真剣に勉強して臨まないといけないことを痛感しました。(終了後はその日に答えられなかったことを毎回色々調べたので知識も豊富になっていきました)

ただその方達は元々マナーの大切さをご存じですが、そうでない人はマナー研修の日になると大勢が欠席するなど、生徒さんの質には確かに大きな幅があり、全体に向かって何をどう伝えたらよいのか?という部分では試行錯誤の毎日でした。

振り返ってみれば、教室の扉を開けたら20名いるはずのクラスがたった4名しかいなかったということもありましたし、研修中にわざと大きく手を広げて新聞を読み続ける中年男性や、何度起こしても大きないびきをかいて寝てしまう若者、人の話をすべて録音して間違ったことを言おうものならすぐにどこかに訴えようという腹積もりでいる人など、数々の”ユニーク”な生徒さんたちには本当に鍛えられました。

ですが、そのたびにうまくいった注意の仕方やかわし方などが自分の大きな経験になりましたし、研修の組み立てや解説の表現なども回を重ねる毎にどんどん精査されていったので、この仕事はまさに自分の基礎を作ってくれたといっても過言ではありません。

結果的にこの年(2011年)は青森・弘前・五所川原・八戸・十和田・札幌・仙台を毎月回って各校のそれぞれのコースの生徒さんに研修を行ったので、単純に計算しても年間で300回以上はマナー研修(ビジネスマナー)を担当したと思います。札幌や仙台など人数の多いスクールは1日では終わらず2~3日連続で担当するので、実際はもっと多いかもしれません。

これを機にほかのお仕事が増えました

八戸駅

最後になりますが、このお仕事をきっかけにして他のお仕事もどんどん増えていったことを書こうと思います。

実は青森県の5か所と札幌を毎月回るのは、私にとって大きなチャンスでした。2011年は3月に東日本大震災があった年ですが、青森や札幌は被害がほとんどなかったので仕事が途切れませんでした。今思って見ても本当にラッキーだったと思います。

そして「仕事で青森に来ています」「今日は札幌にいます」というSNS投稿をすれば、仕事がたくさんあって各地を飛び回っているようにも見えますよね。

そこでガラケーだった携帯電話をすぐにスマートフォンに切り替えて、出張先の現地からどんどんSNSに投稿をするようにしました。

本当は仙台の友人から依頼されて各地に派遣されている一社単独のお仕事なのですが、他の人にそうは見えないのでこの投稿は効果があったと思います。

というのもこれ以降、Facebookの友人たちから少しずつ仕事の依頼が入り始めたからです。

これも余談になりますが、独立後の仕事というのは友人・知人から入り始めるものなんですね。最初のうちはホームページをつくってチラシをつくって、異業種交流会などでPRをしていけばニーズのある第三者からやがて仕事が入ってくるように思っていましたが、実際は全然違いました。

いずれにしても講師の仕事はやはり実績が重要だと思います。「こういうことができます」よりも「こういうことをしました」のほうが説得力があるのです。

最初は多少後ろ向きな気持ちで引き受けたマナー研修の仕事でしたが、私にとってはいろいろな意味で大きなきっかけになるお仕事でした。

それでは次回からは、研修の工夫やエピソードなどを書いていきたいと思います。

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