前回の記事の写真です

仙台⇔久慈を車で往復した出張旅の旅行記です。

この記事は前回からの続きです。全編の内容は以下をご覧ください。

出張旅「久慈編」(1)三陸道をあきらめて行きは東北道で久慈へ
出張旅「久慈編」(2)琥珀の森レストラン「くんのこ」と絶品だった千草のらーめん
出張旅「久慈編」(3)久慈国家石油備蓄基地〜日本にこんな施設があったとは!〜
出張旅「久慈編」(4)「もぐらんぴあ」でこころ癒され、道の駅やまだ「おいすた」でお土産品品にびっくり!

久慈の消防本部の拠点機能形成車両

久慈消防署で指令センターと消防車を見学しました(岩手県久慈市)_w1280_20230313_125100
総務省消防庁と書いてあるのが拠点機能形成車両(昨年撮影)

日本に9台しかない災害用車両が配備されています

私の今回のお仕事先は久慈の消防本部さん(久慈広域連合消防本部)です。昨年に引き続き二度目のご訪問です。

昨年は通信指令センターや消防車を見学させていただきました。

(過去記事)久慈消防署で指令センターと消防車を見学しました(岩手県久慈市)

(1日目)広域連合の消防本部様でハラスメント防止研修の講師を務めました(岩手県久慈市)_w1280_20230313_125219

そのときに、久慈の消防本部にはテントやトイレなど100人規模の宿営資材を積載した「拠点機能形成車両」と呼ばれる特殊車両が国から無償で貸与されていることを知りました。

この車両は可動式の荷室を横にせり出すと室内を指揮本部や休憩所にも使えるもので、1億2000万円もする高額車両で日本に9台しか配備されていません。

昨年は「いったい、それがなぜ久慈に?」という私の疑問から東日本大震災などにお話がどんどん広がり、その過程で久慈市には日本で3日分の石油を備蓄している「国家石油備蓄基地」があることを知りました。

Facebookでは「学校で習った」というコメントもありましたが、私はまったく知らなかったので「日本の中にそんな設備があったとは!」と とても驚き、どんなものか見てみたい、と思ったのでした。

一関で岩手県のリニアコライダー招致活動の話を聞いた時にもびっくりしましたが、近隣の県で誰もが知っていることでも、仙台でぼーっと暮らしているとなかなか知り得ないものですね。

久慈国家石油備蓄基地ってどんな感じ?

久慈国家石油備蓄基地は久慈湾に面した海沿いにあり、お仕事先からならわずか6キロ、車で10分の距離にあります。

この基地は1993年に完成し、翌年の2月に石油の充填が完了しました。

後述しますが、上の写真の奥に見えている地下水族館「もぐらんぴあ」(4階建ての建物)は、この施設の作業坑跡を利用してつくられた水族館なのです。

久慈国家石油備蓄基地の中には入れませんが、隣接する「もぐらんぴあ」に久慈国家石油備蓄基地に関する多数の展示があるのでそちらで知ることができます。

日本の3日分、岩手の1年分の石油を貯蔵

▼久慈国家石油備蓄基地の場所はこちら。市街地からも数キロ、車で10数分

宮城の海沿いはどこを走っても威圧的に高い防潮堤だらけで一切海が見えませんが、今回は久しぶりに海を見ました。運転していて急に視界が開け、目の前に海が広がる瞬間にはカタルシス(精神の浄化)を感じますね。

▼久慈国家石油備蓄基地の全景です。石油はどこに?

Googleの航空写真で見た久慈国家石油備蓄基地の全景です。(Googleは本当に便利!)

一般人はもぐらんぴあ(画像の水色チェックポイント)までの一本道しか通れませんが、もぐらんぴあの駐車場で周囲を見渡してもまさにこんな感じでした。

タンクが林立する石油コンビナートを想像された方も多いと思いますが、久慈国家石油備蓄基地の石油(正確には原油)は地下に貯蔵されています。

久慈国家石油備蓄基地は、海底よりも深い地下部分にトンネルのように長く大きな穴を何本も掘ってそこに石油(原油)を満たす地下備蓄方式の基地です。

▼久慈石油備蓄基地石油は山の地下の深い岩盤に最大175万キロリットル

久慈国家石油備蓄基地の石油(原油)は地上ではなく、地下の奥深くにトンネルを掘って貯蔵されています。

上の写真はその様子をわかりやすく模したジオラマです。もぐらんぴあの石油文化コーナーに掲示されていました。

石油は地下トンネルの中に

▼岩盤と水圧。自然の仕組みを利用した「水封式地下備蓄」トンネル

上の写真は基地を運営する会社のサイトにあった、実際に原油を貯めるタンクの内部です。

固い岩盤と、トンネルの中に染み出そうとする外側全方位からの地下水の水圧で原油が外に漏れないそうです。

そのためトンネルの内壁に鉄板等を内張りする必要がなく、素掘りのままタンクとして利用できるそうです。

外壁から染み出し、原油の中に入り込んで分離した(水と油なので混ざらない)水は、だんだん底面に溜まるので水抜きポンプで排水されます。


▼原油の受払はタンカーからホースを通じて

国家石油備蓄基地はただ貯めておくだけではなく、政情に応じて放出することもあるようです。

受け入れも払い出しも海に停留した専用タンカーからホースを通じて行います。

今まで気に留めたこともなかったのですが、以下のニュースを見ると放出した原油を海外に売るケースもあるらしいです。まさに「へー」という感じです。(※イラストは日本地下石油備蓄株式会社「会社案内」より転載)

(過去ニュース)日本、石油備蓄1500万バレル追加放出へ IEAと協調|日本経済新聞Internet Archive

国家石油備蓄基地は国内に10か所

(画像:JOGMEC

オイルショックを機に日本では石油備蓄法が制定され、現在は石油精製会社などの民間企業に70日分の備蓄を義務付けています。

また国としての備蓄事業も開始され、現在では国内10か所の石油備蓄基地と民間備蓄を合わせた備蓄量は、IAE加盟国(日本も加盟)の備蓄義務である90日分を大きく上回り、2024年1月末時点で239日分の備蓄があるそうです。(出典:日本経済新聞社Internet Archive))

国家石油備蓄基地は国の施設ですが運営しているのはすべて、JOGMEC※から委託された民間会社です。

そのうち水封式地下岩盤タンクを採用している久慈(岩手県)、菊間(愛媛県)、串木野(鹿児島県)の3か所の操業を日本地下石油備蓄株式会社が担っています。

どんな会社かなぁ?と思ってサイトを確認したら、株式比率は「太陽石油36%、ENEOS21.8%、出光15.0%、他4社がそれぞれ6.8%」でした。

と、言っても、どの備蓄会社も前身は石油公団で、それが民間等に引き継がれたものらしいです。

国家石油備蓄基地については以下も併せてご覧ください。

(参考)国家石油備蓄基地 : 資源備蓄 | 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]
(参考)久慈国家石油備蓄基地 : 組織について | 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]
(参考)日本地下石油備蓄株式会社

水族館の受付で会社案内をいただきました

次の記事でご紹介する久慈の地下水族科学館「もぐらんぴあ」には石油に関する展示もたくさんあります。

ですが子供が読んでもわかるように簡単に書かれているので、読んでいると逆に疑問がたくさん出てきました。

それを帰り際に受付の方に尋ねると、思った以上にしっかりと回答していただきました。

ですが、ほかにも知りたいことがたくさんあったため「備蓄基地のほうの資料はないのですか?」と伺うと、日本地下石油備蓄株式会社の会社案内を手渡してくれたんです。

実はこの表紙を見て「え!民間会社がやってるんだ!」と初めて知り(実際はJOGMEC※からの受託でしたが)再び驚いたのですが、この冊子のお陰で石油備蓄基地のおおまかな全容がようやくわかりました。

※JOCMEC(ジョグメック)=独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構/石油・天然ガスの探鉱やエネルギー開発への出資と権益獲得などを手掛ける経済産業省所管の独立行政法人

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