本当はメンターという言葉が
そんなに好きじゃないんです。

 

そうじゃなくても、人材育成の用語って、
いまどきの若い起業家さんが好んで使いそうな、
小難しい外来語が多いのに、
(今となっては死語だと思いますが)
なんか・・・バタ臭いというかなんというか。

 

でもやっぱり、当てはまる言葉が、
今はそれしか浮かばないんですよね。

 

メンターというのは人生の指導者という意味です。
語感としては、日本語で言う「師匠」に近い感じ?
どちらかと言えば、精神的な意味合いが強いかな。

 

私の知人もよく、
「僕のメンターはこう言っている」
などと引き合いに出すので、
イメージとしては妙に偉大な感じもしますが、
職場レベルの人材育成では、
もうちょっと世俗的に、
面倒見のいい指導役の兄貴・姉貴、
ぐらいの感触でもいいと思います。

 

要するに親身になって相談に乗ってくれる、
格上の先輩という感じでしょうか?

 

あるいは、階層も年齢も離れた、
役職者であることもあり得ますよね。
または町内で皆から頼られている、
まとめ役のおじさん・おばさんとか?

 

*    *    *    *

 

今でこそ仲良しですが、
私は大人になって随分経つまで、
自分の母親と仲が悪かったので、
叱られたり批判されることに、
妙に過敏に反応してしまい、
ミスした時にも
素直に謝ることができませんでした。

 

母親との軋轢で、性格的にも屈折していたので、
30代ぐらいまでは、決して、
職場で皆から愛されるようなスタッフでは
なかったと思います。

 

ですが、40歳ジャストで
転職したコールセンターでは、
若いスタッフのアイドル的な存在だった、
マメで世話焼きのオジサン社員が、
こんな偏りのある私でも、
平等にかまってくれたし、
色々な面で自分を認めてくれた、
センター長や部長や課長とか、
多くの人達の暖かさに触れて、
ものすごく成長できたし、
大きな充実感を持って仕事ができました。

 

うちの息子にしても、
いまだに高校時代の恩師と交流があるし、
こころが触れ合う出会いがあれば、
人ってすごく前向きになれるんですよね。
この人に、もっと認めてもらえるように、
頑張ろう、という気にもなれる。

 

ですが、現在のような仕事になって、
多くの職場に関わってみると、
そういったメンターの役割を
担える人がとても少ないし、
「この会社さんには居ない」と
感じることも多いです。

 

特に、人数の少ない中小の法人さんの場合は、
構成員のキャラクターが社風を左右しますが、
技術的には優れていても、
新しい事には後ろ向きで、
後輩の成長にも関心がないという先輩が、
特に専門職に多い気がします。

 

ですが、外部の私から見てはっきり言えるのは、
メンター的な人材がいるかいないかで、
会社のカラーが、明確に分かれますし、
未来に向かう結束や意気込みが全然違う気がします。

 

あと、(余談になりますが)
女性の存在?

 

明るくて、元気で、
笑顔で、ちょっとおしゃべりで、
どんな社員の方にも、
分け隔てなく接するような方がいる職場は、
これもまた、活気があっていい雰囲気です。

 

男性が多い会社では、
女性の力って
思った以上に大きいんですよ。
(行動が大事。年齢は問わない(笑))

 

こうやって見てみると、
職場って本当に「ひと」だなぁ、
と思うんですが、
昨今のメンター不足は、
なぜなのかしら。

 

きっと、世の中が窮屈になって、
自己判断で、主体的に動ける人の数が、
減っているのかもしれませんね。

 

本当は相手のために、
色々やってあげたいと思っている人がいても、
「自分は役職者ではないし、その立場ではないのでは?」
とか、「迷惑なのでは?」「相手が望んでないのでは?」
と、考えて足踏みしている方も多いように思います。

 

また、人に関わらないのが社風になってしまっていると、
自分だけ、ほかの人達と異なる行動は起こしにくいですし、
価値観の違う上司や先輩から、
「なんでかまうんだ?」「余計なことはするな」
「そんな暇があったら仕事しろ、売上を上げろ」などと、
言われるのが嫌で、じっとしている方もいるかも。

 

ある勉強会の講師の方が話していましたが、
「プラスのエネルギーをもっと伸ばすのは簡単」
だけど、
「一度、マイナスになってしまった集団の雰囲気を、
プラスに持って行くのは、非常に困難」だそうです。

 

それ、わかります。一度そうなってしまうと、
社内だけでは改善が難しいかもしれませんね。

 

*    *    *    *

 

私は小学生の時に合唱部に入っていましたが、
顧問の先生(女性)が、月に一度、
市内の女子高(合唱の強豪校)から呼んでくれる、
男の先生が大好きでした。

 

その先生が来ると、練習がとても楽しいし、
みんな、生き生きとしていい声が出るんです。

 

その歌声を聞くたびに、顧問の女先生は、
部員の変貌にびっくりして、
「あのときに声がなぜ出せないんだ?」
と、ヒステリックに怒るんですが、
意地悪で賢しい小学生だった私は、心の中で、
(そうやって、怒鳴るから出せないんだよ)
と、ひそかにウンザリしていました。

 

おっと、話が少し脱線してしまいましたが、
単に業務の手順や進め方を機械的に教えるだけでなく、
人を温かい気持ちにしたり、静かに共感してくれたり、
明るくしたり、元気にしたり、やる気を上げたり、
困ったときは手伝ってくれたり、
悩んだときに親身に相談に乗ってくれたり。

 

そんな人が一人でも職場にいれば、
成長できるし、定着率も上がると思います。

 

そんな人材は、うちにはいない、と思うなかれ。

 

業務的にはイマイチで、
危なっかしくて大きな仕事を、
任せらないような人でも、
他人と関わる事には全然抵抗がなくて、
ほかのひとから、何か言われても、
あまり気にせず、笑ってうまくかわせる。

 

そんなキャラの人がいたら、
その人が狙い目だと思います。
そんな人がもしいたら、業務指導よりも、
皆さんのマインドを上げる役割を、
どんな形でもいいので、担当させてみてね。

 

そういうキャラクターの方は、
期待されると力を発揮するタイプなので、
ご本人の実力よりも、
ちょっとだけハードルの高い目標を設定して、
「君の力をぜひ貸してほしい」と言えば、
きっと、やがて、大活躍してくれますよ。

 

適材適所の人材を見つける目は、
自分の好みや、業務能力だけを見ていると、
すごく狭くなってしまうので、
「モノは試し」と考えて、トライすることも、
必要だと思います。

 

社内の指導役やメンターになるためには、
任される、一任される、権限移譲される、
という経験が、どんな人にも必要です。

 

そうやってちょっと重い何かの役目を担うことが、
人を大いに成長させていくものですが、
現状では上の方が、「アイツは、まだまだダメだ」
と考えて、誰にも何も任せていないケースも多いです。
そうなると、成長する機会が得られないので、
誰も育たず、育てる人も生まれない、
というループに陥ることもありますよ。

 

それでも不足を感じる時や、
進め方がわからないときには、
お手伝いしますので、ご一報ください。

 

私の知人の松尾公輝さんの最近の言葉を借りて、
「結局そこかい」と言われそうですけどね(笑)




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