今日は角田田園ホールで行われた、
マリアセレンさんのコンサートに行ってきました。
マリアセレンさんは、一人で女声と男声を使い分けられる、
ニューハーフの両声オペラ歌手(cantante ambavoce)です。
どちらの声も声量豊かなプロの声楽家です。
会場はかくだ田園ホールで、お客さんの入りは1/3程度でしたが、
熱く応援している人の割合が多かったせいか、
ほかの皆さんの拍手の音が大きく響き渡って
耳で聞くだけでは、人が少ないという感じは全然しませんでした。
ただ、お客さんの層が本当にバラバラで(笑)、
ご高齢の方や家族連れが目立ったのにはびっくりしましたが、
コンサートそのものは、とてもよかったです。
(今思えば共演者のほうのお友達もそれなりにいたのかも)
個人的に、マリアセレンさんは、男声のほうの声に魅力を感じていますが、
男声も、女声も、声量が豊かでとても迫力があるので、
聞いているだけで感動してしまいますね。
私の隣の女性(私よりもちょっと年上ぐらい)は、
歌を聞きながらハンカチを握りしめて何度も涙ぐんでいましたし、
その向こうの男性(私よりもちょっと年上ぐらい)も、
よく鼻をすすっていたので、
やはり、心に響く声質の持ち主なんだと思います。
* * * *
マリアセレンさんは、
一昨年、まだ、Haruka(ハルカ)という名前だったときに、
たまたまYouTubeで動画を見て、
最初、普通に、ソプラノの女の人が歌っていると思って見ていたんです。
動画のタイトルに「脅威の歌唱力」
というフレーズが入っていたので、
その言葉に惹かれて思わずクリックしたのがきっかけですが、
動画の出だしは、水商売で歌が上手い太目の女の人が、
何かの余興で、得意の歌を披露しているのだと思いました。
でも、この方が素人さんなら、確かに上手いけれど、
プロ歌手ならば、これぐらいは普通かも?
(タイトルは「釣り」だったのかな)
ところが、そうやって見ているうちに、
ある瞬間、突然その人の声が、
堂々とした深く美しいテノールの男の人の声に変わったんですよ!
え?・・・え?・・・この人って本当は男性だったの?
その早変わりの見事さと意表を突く演出に驚きました。
私が一番最初に見た動画は、たぶんこちらだったと思います。
今はネット上に、もっといい動画がいくつもあるのですが、
そのときは、これともう一つぐらいしか動画がなく、
どちらも、驚いた閲覧者から多数のコメントが寄せられているものの、
この方がどこの誰なのか、正体が全く不明で、
調べても残念ながら、めぼしい情報はありませんでした。
が、先月、久しぶりに動画を見てみたら、
関連動画の数が一気に増えていました。
お名前もマリアセレンという名前に変えて、
どうやら、プロのシンガーとして、
本格的に歌手活動を開始ししたように思われました。
名前がわかれば、あとは早いですよね。
そこで早速検索してみたら、すでにホームページもあって、
なんと来月、宮城県(角田)に来るというじゃありませんの!!!
県内なら車でどこへでも出かけているし、
地方のホールは駐車場が広くて停めやすいんです。
しかも、角田は仙台の南部在住の私にとっては家から車で40分の近さ!
(自宅からバスや電車で仙台の街中に行くより近い(笑))
これはもう、生で聞ける絶好のチャンスと思い、
その場で、衝動的に申し込んだのが今回のコンサートでした。
自分は、この方は音大出身なのかと思っていましたが、
実際は、そうではないようです。
東京都生まれ。学生時代より合唱部で歌い、テーマパーク勤務後「Haruka」名で歌唱し、人気を得る。その後ニューハーフの世界へ。
(DVD裏表紙 より)
ネットの情報をまとめると、高校時代は合唱部に所属し音大(声楽)を目指すも断念、
テーマパーク就職→ニューハーフの世界へ→ショーパブでコシノジュンコ氏と出会い、
同氏のファッションショーや祝賀パーティに出演するようになり、
そのときの動画(たぶんこちら→脅威の歌唱力!!本当に凄すぎる!!)
が世界的に評判を呼ぶと同時に、
そのタイミングで販促マーケティングのコンサル会社の社長に見いだされ、
その後、3年かけて本格的な発声法やオペラ歌手としてのトレーニングを積み、
同社所属のアーチストとなって、現在に至っているようです。
マリアセレンさんに関しては、↓↓↓以下の記事もご覧ください。
上のチラシは、このブログを書くにあたって
改めてマリアセレンさんのHPを見て発見したものですが、
私がチケットを申し込んだときには、
確かまだ、掲載されていなかったように思います。
(あったらダウンロードして手元に置いているかも・・・)
なので、私は今回、チラシがアップされていたことも知らず、
コンサートのイメージが全くつかめないまま、
「どんな内容なんだろう?」という思いで出かけました。
声楽系のコンサートって、たとえば生伴奏がピアノ1台だけだったりすると、
結構、貧弱で寂しいんですよね。
(過去に県民会館で見た、新垣勉さんがそうだったので・・・)
それに、こういったパフォーマンスだけで、
果たして2時間持つんだろうか?という疑問もあり、
そのときは、勢いでチケットを申し込んでみたもの、
実は、決して大きな期待でワクワクと出かけて行ったわけではなかったのです^^
ですが、実際は、DateFMでモーニングフラッシュなどを担当している、
フリーアナウンサーの船倉薫さんが司会を担当し、
プロの演奏家と仙台フィルから、ピアノと弦楽器が生伴奏に入り、
音楽的な充実感がありましたし、何よりも、
ショービジネスの世界で相当鍛えられたのだろうと思われる、
マリアセレンさんのプロフェッショナルでゆるぎない姿勢と、
ゴージャスなお衣装&頭の飾りもの(?笑)に独特の世界観があって、
彼(彼女)がステージに出てきただけで、
ここはホテルのディナーショー?みたいな、
瞬時に雰囲気を変えてしまうところがありました。
本当はきっと、生トークもユーモアがあって、
いい感じでお客さんをいじれる方だと思ったんですが、
今回は、司会の船倉さんの適度に品行方正な仕切りで進行したので、
その辺を垣間見ることはできませんでしたけどね。
それと、プログラムを分ける形の共演で、(コラボも1曲あり)
在仙のthe voice of LOVE というゴスペルスタイルのボーカルグループも、
何曲か歌声を披露してくれたのですが、
(単独公演じゃなかったのね。行ってから初めてわかった^^)
彼らとマリアセレンさんの世界観が違いすぎて、
(失礼とは知りつつも)the voice of LOVEの皆さんが、
妙に素人臭く見えてしまって、しかたありませんでした。
(あと、the voice of LOVEさんは、
もうちょとユニークで変わった声の人がいるといいな)
ちなみにマリアセレンさんの身長は182cm。大柄なんです。
なので、ステージで他の方達と並ぶと、大人と子供のようで、
それも、ちょっと、不思議な感じでした。
そしてラストはなんと、私が全く予想していなかった、
半分以上のお客さんのスタンディングオベーション!
私も立ち上がって、手が痛くなるぐらい一杯拍手をしましたよー。
弦楽四重奏+ピアノの演奏もよかったです。
今思うことですが、マリアセレンさんは、たっぷりとした豊かな声量と、
ほんの少し濁りのある(そこがいい)味わいのあるテノールが大きな魅力で、
これは、正規の教育有無の話ではなく、天性の素質だと思います。
これからも歌の力にもっと磨きがかかれば(今はごく稀にちょっと不安定)、
それだけでも(両声歌手という見せ方をせず男声だけでも)、
十分やっていけると思うのですが、
こういったキワモノ的なきっかけでしか声楽分野に注目が集まらないのは、
オペラやカンツォーネに携わっている方には、寂しいお話かもしれませんね。
逆に、本当は探せば、魅力的な声楽家はほかにもたくさんいるはずなのに、
こういった「つかみ」がないと、なかなか注目を浴びることができない点で、
業界の人達の深いジレンマにも少し思いが及びました。
辻井伸行さんも全盲という最大のハンディが驚きを感動に変えましたし。
それから、マリアセレンさんを見出したのが、コシノジュンコさんや、
マーケティング会社の社長さんであることなど、
純粋な音楽畑の人達じゃないことも、印象的でしたし、
認知度が広がるきっかけになったのがYouTubeというのも、
今どきだなぁ・・・と思いました。
それにしても、
「角田の皆さん、こんにちは(こんばんは、だっかな?)」
と呼びかけられても、うーん、私は角田市民じゃないしなぁと思い、
なんとなく、反応できない自分がいましたが(笑)、
車で来た人が多かったので、
地元よりも仙台や、県内全域から熱心なファンの方が、
集っていたのかもしれません。
ネットからダウンロードしたチラシをPDFにしました。
ご興味のある方はこちらからどうぞ。
パラレルワールドコンサート 2017 Maria Seiren & the voice of LOVE
2017年9月17日(日)16:00開演
出演 Maria Seiren、the voice of LOVE
演奏 第一バイオリン:駒込綾 第二バイオリン:熊谷洋子(仙台フィル) ビオラ:御供和江(仙台フィル) チェロ:山本純(仙台フィル) ピアノ:木下順子
司会 船倉薫
演目 (覚えているのだけね(笑))
・弦楽四重奏+ピアノだけで最初に2曲
(2曲目はマスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ〜間奏曲」)
・the voice of LOVEが5曲
(休憩)ここまでで約45分
マリアセレンさん(順不同)記憶が怪しいので正確ではないかも。
・アベマリア
・オーソレミオ
・乾杯の歌(Brindisi 椿姫)
・もののけ姫のうた
・どこかの合間に、弦楽四重奏+ピアノのワルツ(うーん、なんだっけこの曲?)
・カロ・ミオ・ベン
・トスカ〜星は光りぬ
・オペラ座の怪人
・Nessun dorma(トゥーランドットより『誰も寝てはならぬ』)
・帰れソレントへ(たぶん)
・You Raise Me Up(the voice of LOVEとコラボ)
・Time to Say Goodbye(出世作)
・アンコール2曲(だったかな)
※そよろんさんからコメントをいただき、青字の部分を修正・追加いたしました。
そよろさん、ありがとうございます!
会場には物販もありましたが、台風の到来で雨風が強く、
今回は早々に帰宅。
ですが、帰りの車の中で、どうしても、
今聞いてきたばかりのあの歌声を追体験したい思いに駆られ、
スマートフォンの通信料を気にしながら、
YouTubeの動画を何度も再生しながら、
ハンドルを握って帰ってきました。
今は、こういう方法で手軽に無料で簡単に音楽を聴けてしまうので、
売り出し手法として幅が広がる半面、物販は苦戦しますよね。
私は20代の頃、ちょっとだけ広告関係の仕事をしたことがあるので、
ついつい、そんなことにまで、思いを馳せながら、
本当に、たくさんのことを感じて考えて帰宅いたしました。
(これでもまだまだ、書き足りないぐらいです^^)
最後の最後になりますが、
マリアセレンさんのロゴマーク、
芸名の由来にもなっている、
神話上の海の妖怪(怪物)セイレーンなんですね。
セイレーンはスタバのロゴにも使われていますし、
サイレンの語源でもあります。
すごい詳しい記述で、ありがとうございます。コンサートの感動が思い起こされますね。
折角ですので少し補足させて下さい。(まだ十分ではありませんが)
オープニングの2曲目は、マスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ〜間奏曲」です。
そして、the voice of LOVEは3曲ではなくて5曲歌いました。
あと「カロ・ミオ・ベン」「トスカ〜星は光りぬ」「オペラ座の怪人」もありました。
いずれにしても、台風が迫り来る中、お疲れ様でした。観た方は得した気分ですね。
>そよろんさん
コメントありがとうございます。昨日会場にいらした方ですか?それとも関係者の方でしょうか?いずれにしても補足をありがとうございます。
the voice of LOVEさんは5曲だったんですね!直しました。
それから、曲名のご教授もありがとうございます。早速、加筆いたしました。感謝です。
個人的には、プログラムが欲しかったな~などと思いながら、思い出し、思い出し、忘れないうちに書きましたが、心強いコメントをいただき大変助かりました!
ちなみに、マリアセレンさんの歌の合間の中間(一度ステージから下がったとき)に、弦楽四重奏+ピアノの皆さんが演奏されていたワルツの曲名はご存知でしょうか?とてもよく聞いたことがある曲なのに、元々曲名を知らなかったので、ずーっと、「この曲はなんていうんだろう?」と思いながら聞いていました。
自分は、コンサートに足を運んでみて、マリアセレンさんの魅力は「両性ボイス」ではなく、人を惹き付けるテノールの声質だと思いました。
また、the voice of LOVEの皆さんは、若々しく元気でよかったですが、違う場所で歌声を聞いた時に「あ、あの時のあの人たちだ!」とすぐに思えるような、独特の個性があれば、もっと素敵になると思いました。
もし、そよろんさんが、the voice of LOVEにご縁のある方でしたごめんなさい^^
コンサート、とってもよかったですよね。共有できる方にコメントをいただき、すごくうれしいです。ありがとうございます。
こんにちは
the voice of LOVEさんとは、全く縁がありませんので、ご安心ください。
このグループに関しての感想は、sasazakiさんとほぼ同感です。
おたずねの曲名は、
サティの「ジュ・トゥ・ヴ」?
ピアノ曲をアレンジしたものかもしれません。
youtubeなどで聴いてみてくださいね。
では、失礼します。
>そよろんさん
おはようございます。これです!これです!
本当にお詳しくて感激です。
どうもありがとうございました。