もうすぐ新年度。
たくさんの新人さんが会社に入ってくる時期ですね。
4月は私自身にも、いくつか新入社員研修の
お仕事が入っています。

 

今日は自分が普段から思っていることですが、
中小零細企業でもたった1時間でも、
新入社員教育はやったほうがいいと思う件です。

 

教えられる人がない、教えることがない、時間がない、
業務は現場で覚えるもの、すぐに実務に入って欲しい…

 

色々、ご事情はあると思いますが、
ここで大事なのは、
何かを教えたり覚えてもらうことではなく、
新入社員のために、きちんと時間を取って、
正式に向き合って、何かを伝える機会を設ける、
という事実をつくることなんですよね。
それは、けじめとして大切だと思います。
新人さんも襟を正す機会になります。

 

それと、特に中小企業や零細企業さんの場合は、
新人さんの育成が系統だっていないので、
受け入れ側もどうしたらいいかわからず、
「じゃ、まず電話とって」「コピーとって」
と、手っ取り早い雑用からなんとなくスタートして、
業務の一端から、できそうなことを細切れ状態で、
ポツポツと教わり始めることが多いと思いますが、
新人さんって、実は頭の中が「?」で一杯なんですよ。

 

お店屋さんや一般的なサービス業など、
直接お客さんと接するような仕事であれば、
自分の仕事がどのように相手に役立つのかを、
容易にイメージしやすいのですが、
部品加工や原材料の販売など、
完成品を扱わない製造業、卸売業、
学生のときには知り得なかった業種の技術職などは、
自分が手掛けているのが一体何で、
それが社会にどう関わっているのか、
さっぱりわからない、ということが多いんです。

 

(中小零細企業さんの場合は、
中堅社員でもわからない人がとても多い。
もし社長さんが私とのやり取りを聞いたら、
びっくりしますよ、きっと。)

 

だから、難しい知識や専門技術の指導は要りません。
周れる距離なら支店を周って見せるとか、
工場があるなら工場見学、
または、自分たちの会社にはどんなお客さんがいるのか、
自分たちの仕事が世の中とどう関わり誰の役に立っているのか。

 

そういった、ごくごく基本的なことを、
役職者の方がしっかり伝えて、
仕事をすることが社会に貢献する作業であることを、
最初に十分、感覚的にわかっていただくことが、
今後への意欲や、大局的な判断力につながると思います。
こればっかりは、現場の職人さんには任せない方がいいかもね。
職人さんが「見ればわかるだろ」キャラだった場合は、
学ぶ気持ちが強い新人さんの学習意欲に応えられるような、
丁寧でわかりやすい説明はできない気がします(笑)
こういったことこそが、上層部の方にピッタリです。

 

同時に、自分(新人さん)たちのために、
上がきちんと時間を取ってくれたと感じてもらうことも大事で、
それは、一般的な社員教育も同じですよね。
電話応対などの研修を行うと、
「自分たちは一度も教わったことがない」と、
口々に言われることが多いのですが、
中堅の社員さんであっても、(電話応対に限らず何事も)
「一度体系的にきちんと教わりたい」と、
思っていらっしゃる方は、多いんです。

 

また、製造業の皆さんの研修を起こったついでに、
参加者の皆さんに製品の流れや、いったい何になるのか?を尋ねると、
「俺たちもわからない」という答えがとても多いです。
もちろん、お仕事の入り方次第ではそうならざるを得ませんが、
分かっているものだけでもいいんですよね。
具体的に知っていることが2~3個あるだけで、
仕事への手ごたえ感が全然違いますから。

 

大手の会社はそれなりの研修センターがあったり、
小さな会社さんでも、相応の期間を外部の研修機関に委託するなど、
色々な方法で、新人教育が進められる時期ですが、
たとえ社員さんが数人の会社さんであっても、

・会社の社会的な役割(経営理念ではない。商品やサービスについて)
・会社の業務と特長、強み
・主なお客様の紹介と、(あれば)支店や工場の見学

の3点は、しっかり伝える時間が欲しいですし、
その項目を含めた、初日3日間の予定表をつくって、
新人さんに手渡すとよいと思います。

 

新人さんって、色々なことを忘れちゃう人種なので、
時間が経つと多くの人は「教わっていない」と言います(本当です)
なので、「ちゃんとやりましたよー!」という証拠を残すことも大事。

 

自分たちが誰のために何をやっているのかわからなければ、
仕事への関心もなかなか向上しません。
小さな会社さんでも、たった1時間でもいいので、
そういった時間を、あえて作って欲しいと思っています。