視力不足で免許更新ができなかった夫

妻として「夫は視力が落ちているんだな〜」とは思っていました。

60代後半の夫は10年位前から「視界にモヤがかかっているような感じがする」「見えにくくて夜の車の運転が怖い、不安だ」「車のフロントガラスが曇っていると思ってワイパーをかけても解消せず、あ、これは自分の眼の問題と思った」という発言を頻繁にしていました。

今思えばこの「視界にモヤ」や「目の前が曇っている」というのは重要なキーワードなのですが、当時はそれが加齢による視力の低下のひとつなのだと思っていました。

そのせいで鳥目(夜盲症)になってきたのかな?と思いましたが、夫は若いころから視力が悪かったので、私としては年齢と共に度合いが進んだのだろう、ぐらいの感覚でした。

それに夫は昔から説明が下手で、何度聞いても状況がよくわからなかったり、自分の解釈で話を勝手に曲げてしまうことがあるので、長年の習慣(学習)で、私自身があまり真剣に夫の話を聞かなくなっていたのも事実です。

けれどその後、夫は運転免許更新のために訪れた大河原の仙南運転免許センターの視力検査で「視力不足」と判定されて免許の更新ができず、すぐに相談に行った眼鏡屋さんでも「これ以上度数の強いメガネは作れない」と言われ、病院を受診しようかどうか本人が迷っているうちに、結果的に自動車運転免許は失効してしまいました。

それまでは警備員の仕事先に普通に車で通っていたので、視力不足で免許更新ができず、今後は車が運転できないということは、本人にとっては非常に不便で大きなショックだったと思います。

この日から夫は仕事先には電車を乗り継いで通うようになり、遠出の必要があるときには私が忙しい仕事の合間を縫って送迎をつとめるようになりました。

実は夫は”怖がり”で”大の病院嫌い”なので、歯医者でさえも順番を待っているうちに怖くなって逃げ帰ってくる(実話です)人間です。だから眼科に行くべきだとは心でわかっていても、万が一手術になったらどうしようという恐怖感で、受診を1日延ばしにしていたのだと思います。

眼科を受診するも先生からは何も言われず・・・

そんな夫がようやく重い腰を上げてある眼科を受診したのが1年前。

その病院を選んだのは「著名な眼科」ということも理由のひとつですが、何よりすでに母(同居している私の実母)がそこで白内障の手術をしており、それで視力がよくなったという事実があったからです。もし眼に何かの病気があっても手術で視力が直るのならそのほうがいい、と、病院嫌いの夫もようやく思い始めたのでした。

ところが、夫が受診して検査を受け、年配の院長先生に現状を訴えても、先生からはこれといった説明が何もなく(見立てや示唆が一切ない)、「視力が落ちてきているんです」「だろうな」という短い会話で終わっただけだった、というので、私は「病院にも夫にも納得がいかない」という気持ちになりました。

もし私だったら「これは加齢ですか?病気ですか?」「直るんですか?」「視力を回復するには今後どうしたらいいんですか?」と、矢継ぎ早に絶対聞くと思うんです。

ですが夫はそもそも病院慣れしていないので、何も言われなければそれ以上は何も聞かずに帰って来たようです。

この件はこの日の夕食のときに、私や母から「なんでもっと聞かないの?」突っ込みされまくって、それはちょっと可愛そうでしたけどね。

夫によれば、支払いのときに眼科の受付で「これで終わりですか?もう来なくていいんですか?」と、一応、聞いてはみたそうです。すると受付の方から「先生は何か言っていましたか?」と確認があり、「いや何も言っていませんでした」と答えたところ、「ではこれで終わりです」そんなやりとりだったそうです。

病院のかかり方にも問題があったのでは?

ちなみに白内障の手術を受けた次男のお嫁さんのお父さんも、別な眼科の初診時に似たような状況だったらしく、それよりも前に白内障で手術を受けていた奥さんが自分と同じ眼科に無理やり病院を変えさせて、そのうえで手術に至ったという話を聞きました。男の人ってこういうときは案外受け身なんですね。

私の息子は8年前に潰瘍性大腸炎で大腸を全摘していますが、そのときも担当の先生はいくつかの選択肢とメリット/デメリットを述べて「どうしますか?」という感じでした。

潰瘍性大腸炎は難病に指定されていて治療法が確立していないため、先生としてもそういう進め方を取らざるを得ないのですが、ある程度重い病気に対して、今の病院は黙って座れば先生がてきぱきと治療を進めてくれるわけではなく、なんでも自分で決めなくてはならないし、患者さん自らが強い意志と主導権を持って物事に対応していかないとダメなんだな・・・とそのときから強く思うようになりました。

病院嫌いの夫は、私が「眼科を変えてみたら?」と何度言っても反応が鈍く、「五橋の眼科にもう一度行く」と口では言ってもなかなか行かず、視力が低下した夫の眼は加齢なのか病気なのかもよくわからないまま、1年が過ぎました。

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