今日は、設備業のA社さんで、提案力向上研修の第3回目を行いました。

現場でメンテナンス作業をされる技術系の専門スタッフやエンジニアの方でも、お客様との会話を通じてニーズを引き出し、ちょっとしたご提案につなげていくための研修で、今回はコーチングの手法を使いながら、前半は目標設定、後半は全員ロールプレイングを行いました。

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ピンポイントのコーチング研修ではありませんし、コーチングのマインドやスキルを深めるのが目的ではないので、コーチングに関しての説明は最小限にとどめ、「とにかくやってみる」ことを着地点として、演習をベースに進めました。

ロールプレイングに先立ち、参加者の皆さんのイメージ作りのために、まず自分が2名の若手の方の「引出し」を行ってみました。が、長くコーチングをやっていると、数分間の軽いデモンストレーションでも、やっぱり、それなりに深掘りしたコーチングになってしまうんですよね^^参加者の方が難しい印象を持ってしまうので、なるべくそうならないように気を付けているんですが、日頃の習慣というのはなかなか手ごわいものです。

さて、今回自分がやってみたデモンストレーションは、参加者の方との雑談を通して相手の方の仕事上のニーズを引き出すというものでした。ある意味、真の目標と言えるかもしれません。

最初にある方に前に出てきもらい、ご自身の仕事の目標などを尋ねながら色々お話をしている中で、「それができたら周りの方にはわかりますか?」とお尋ねすると「わかる人にはわかる」というお答えが返ってきました。そのとき、その方の視線がふと上に向いて、一瞬言葉が止まったんです(ほんの一瞬です)。

たぶん、日常的に自分の仕事を評価してくれる人を思い描いているのではなかと思い、「それは誰ですか?」「どんな風に言われたいですか」と質問してみると、「ある他社の方に、今回は(NG箇所が)ゼロだったね」と言ってもらえるシーンを想像されたようです。

度重なる仕様の変更が頻出する現場で、抜けや漏れがどうしても出てしまう場合があるそうですが、「今回はゼロだったね」という言葉は、私が想像しても涙が出そうにうれしい言葉に思われて、本当に心から共感してしまいました。もしかしたらこの方のニーズは、「ご自身が仕事を完ぺきにこなす」ということよりも、そのお仕事先の方に「完ぺきだったね」と言われることにあるのかもしれません。

この方は、とても察しのいい方で、自己表現も豊かでスピーディ。お仕事も出来る方だと感じましたが、コーチングにも向く方だと思いました。

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また、別のある方は(仮にAさんとすると)、5年後、10年後の自分を思い描いてもらいながら、そうなったら「何が変わるか」4つ挙げてほしいとお願いしてみました。普段はそういった仮定で物事を考えていないので、4つの項目一生懸命考えてくださいましたが、最後の4つ目のところで少し間をおいて「Aさんだったら任せて安心、と言われるようになりたい」と答えてくれました。

私がこれがこの方のお仕事におけるニーズなのではないかと思いました。言い換えれば、キャリアを積んで、職場からも仕事先からも信頼できる技術者になりたい。そしてそれがこの方の真の目標なのではないかと思いました。まじめに誠実に仕事に取り組んでいる入社2年目の方で、未来へのピュアな思いがひしひしと伝わってくる素敵な言葉でした。

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コーチングでも商談でも、そして、ちょっとした雑談にしても、相手の方がふと視線を宙に投げかけて話すをやめたり、一瞬言葉が途切れて言い淀んでしまう瞬間があります。私はそこが、物事を深掘りするための最大のチャンスだと思うんです。そこに真のニーズや真の目的、真の背景、真の個別事情などが潜んでいるのではないでしょうか。だから、今、実際に展開している会話のテーマに終始するのでなく、「ん?なんだろう?」と思った箇所に軽く触れてみることが重要だし、それに気づく観察眼も大事だと思います。

今回の全員ロールプレイングでは、二人一組で前に出て会話(雑談)をしてもらい、皆で相手の方が欲しいと思ってくれそうな商品(なんでもいい)をご提案する、というゲームをやりました。すると意外なことに、交わされた言葉から類推して拾い上げたものではなく、会話の中には全く出て来なかったのに、全体的にその話を聞いて「たぶん、こうだろう」と予想した意外なもののほうが、正解率が高かったのです。

こういったことからもわかるように、言葉の字面だけをとらえるのではなく、それを発したご本人の表に出て来ない内面に手を伸ばしてあげた方が、真のニーズにたどり着く確率が高いと言えるのではないかと思います。


研修名:提案力向上研修(全7回)
本日のタイトル:「③ニーズを引き出す尋ね方」
テーマ:会話力
人数:約10名
時間:3時間
対象者:特定のメンバーと一部の希望者




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